(S137)二自由度スミス法を用いた熱間圧延における巻取り温度制御のむだ時間補償

摘要

熱間圧延において巻取り温度制御は，鉄鋼製品の最終材質を決定づける重要な制御機能であるが，操作端である冷却水のバルブから温度計までの搬送時間，バルブ応答遅れ，といったむだ時間の影響によって所望の温度精度の確保が難しい問題がある．代表的な対処法として，スミス法によるむだ時間補償が挙げられるが，温度モデルに大きく誤差がある場合には不安定化を招くことがある．そこで，本稿では，通常のスミス法の制御ブロックを目標値追従のループと外乱抑制のループに分解し，外乱抑制のループに対して一次のLPF（ローパスフィルタ）を施す．これによって，低周波域にのみモデル化誤差がフィードバックされ，高周波域での不安定化を回避することが可能である．