一過性尿崩症

摘要

尿崩症は多尿，多飲を来す疾患で，中枢性尿 崩症(狭義の尿崩症）と腎性尿崩症がある.中枢性尿崩症は，バソプレシン（AVP)が下垂体後葉 から適切に分泌されないため，腎における尿濃 縮力が低下して多尿に陥る疾患である.大部分 の尿崩症はその病態が終生永続するが，一部に は一時期尿崩症を発症するもののその後寛解し 得る病態が存在する（一過性尿崩症）.これには 妊娠，髄膜炎後，下垂体卒中後，視床下部下垂 体の手術後，外傷などに関連して惹起される病 態がある（表1).