カルシウム拮抗薬の抗動脈硬化作用

摘要

本稿で取り上げるカルシウム拮抗薬（calcium channel blocker ： CCB)は，1980年代に高血圧 治療薬として承認された電位依存性カルシウム チャネルの阻害薬である.CCBは化学構造式 から，ベラパミルを基本とするフエニルアルキ ルアミン系，ジルチアゼムを基本とするベンゾ チアゼピン系，二フエジピンを基本とするジヒ ドロピリジン系の3種に分類される.この3種 は，カルシウムチヤネルへの結合部位が異なり， 薬理学的な心血管作用に違いがある.特にジヒ ド口ピリジン系CCB(DHP-CCB)は，その強力 な血管拡張作用，血管選択性による優れた降圧 効果と安全性から，現在我が国で最も汎用され る降圧薬の一つとなっている.動脈硬化の発症 '進展過程には，その一部にカルシウムホメォ スターシスの破綻が関与していることから， CCBが直接的に動脈硬化へ影響を与えうる可 能性が考えられ，CCBを用いた大規模臨床試験や基礎研究が活発に行われている.