ポリグリセリン脂肪酸エステルのαゲル形成と乳化特性

摘要

高級アルコールに界面活性剤を混合することにょって形成されるαゲルは，古くからレオロジー調整目的でヘアケア製品に利用され，その高い水分保持能や特異な感触から最近ではスキンケア製品にも応用されている。αゲルとは，ラメラゲル相が複雑に絡み合ったゲルネットワーク構造を成し，その結果エマルションを安定化させている複数相から成るコロイド形態である。αゲルをクリーム処方の基剤として用いる利点として，①水溶性物質，油溶性物質，不溶性物質など多くの物質を比較的簡単に安定的に，かつ安価に処方できる，②少量の油性成分にもかかわらずリッチな使用感が得られ，さらに油性成分のべたつきを解消できる，③αゲルは内部に多量の水を含有することができ，角層細胞間脂質膜に類似したラメラ構造を持つことから，高い保水性と閉塞性が期待できるといった点がある。