ダイカスト金型の応力腐食割れの低減と製品品質を向上させる表面処理技術

摘要

ダイカスト金型では、生産性向上のためサイクルタイムの短縮化が図られており、これに伴い、金型の内部冷却を強化するケースが増えている。その方策として、冷却穴を金型表面に近づける、冷却穴数を多くするなどの金型設計があるが、成形時の繰返し熱応力の影響がより大きくなり、冷却穴からの応力腐食割れリスクが高まる。また、形状によっては冷却穴が細穴となり、冷却穴内部に錡が発生することで冷却効率の低下が問題となる場合もある。応力腐食割れ対策としては、金型の硬さを低めにし、靱性を確保することが有効だが、一方でキャビティ面のヒートチェックに対しては不利となる。腐食に対して耐食性のある皮膜処理が有効だが、冷却穴内部へのつき回り性の問題が生じる。また、製品が液雑形状化·薄肉化する中で応力腐食割れや、ヒートチェック性だけでなく、焼付き性·アルミ湯流れ性の問題が発生する場合も見受けられる。これらの方策として、当社はショットピーニング処理による表面処理「Hi-BSC処理」を開発したので紹介する。Hi-BSC処理は、冷却穴内部の錆対策や応力腐食割れに有効であるとともに、金型表面に施すことで生産性向上と型寿命向上に貢献できる表面処理技術である。