ナノカーボン材料を用いたダイカスト金型向け表面処理技術

摘要

近年、アルミニウムや亜鉛、マグネシウムなどのダイカスト製品は、自動車部品以外にも産業機器やOA 機器などに広く使われている。また、今後さらなる軽量化のニーズが高まるのは必然であり、ダイカスト製品の薄肉化·複雑形状化と高品質·低コストの両立が必須と考えられる。薄肉化や高品質確保のためには、優れた溶湯充填性の確保とガス巻込みやひけ巣の低減が問題となる。この手段としては、一般的には高真空化や超高速射出化などの鋳造機のハイスペック化が考えられるが、背反として鋳造機の価格アップや維持管理費の増大、金型寿命の低下などによる高コストが課題となる。本稿では、上記課題を解決できる金型技術として注目されている、トヨタ自動車㈱らと共同開発した、画期的な湯流れ性を有するナノカーボン材料を用いたダイカスト金型向け表面処理（以下、カーボンコーティングと呼ぶ）技術について紹介する。