CAD/CAM·鋳鍛造·ダイカスト No.220：デジタルエンジニアリングによる層流充填ダイカスト金型の寿命改善対策

摘要

従来、ダイカストなどに使用される金型の寿命向上への取租み方は、①短寿命および長寿命だった廃却型を比較調査して寿命原因を抽出、②定性的な対策案の立案と対策型の作製、③実際に対策型を使用して経過を観察、その後①へ戻るというトライアンドエラーの繰り返しであった。 しかし、この方法では、対策案が妥当であったかどうかが判明するまでに時間を要する、ランニング品の製造ライン上で実型を使用しながら行う対策のため、うまくいかなかった時に機会損失や対策コストが大きくなる、などの問題を有していた。 一方、金型形状、材料および量産工程を模擬した数値解析（デジタルエンジニアリング；以下D/E）を行うことによって、金型における応力集中部を求め、割れ発生部位の予測や型の設計変更による割れ対策の効果などをあらかじめ推定できれば、定量的に対策を講じることができ、改善の取組みをスピードアップできるとともに、改善費用を抑えることができると考えられる。 今回は、D/Eによって、ナックルステアリング用の金型の冷却孔割れ対策を行った例を紹介する。