ダイカスト工場の原価と生産技術を再考する～製造·技術·経営·コンサルの視点から～中小製造業（ダイカストメーカー）の現場経営 その1

摘要

連載第12回～第14回で収益改善（原価低減）の仕組みについて解説した。その仕組みを活用して現実に収益を向上させるためには、具体的な現場改善施策とともに、企業の組織や工場の運営、マネジメントについて充実させる必要がある。良い仕組みがあっても部門長を含む管理者（マネージャー）が経営者の意図、目標のもつ意味などを理解し、部門員に対して適切な指導、指示を出さなければ活動は前進しない。また、必要な情報が効率よく展開され、共有されなければならない。さらに、現場が改善を進め、効果が明らかになった際、改善活動の継続に欠かせない部門員の動機づけのため、改善の効果が経営に与えた影響や、正当に評価されたことが部門や部門員に伝達（フィードバック）される必要がある。今回は、①収益改善の仕組みを効果的に活用し、②収益の維持向上を継続的なものとし、③活動を通して改善の習慣が企業文化として根づくための、ダイカストメーカーを含む中小製造業の現場経営（現場のマネジメント）について解説する。