金型·成形技術者のためのプラスチックレンズ技術の基礎 第3回 非球面プラスチックレンズ設計

摘要

プラスチックレンズの最大の特徴は、非球面を容易に実現できることである。非球面プラスチックレンズでも球面ガラスレンズと基本的な光学設計の手順は変わらない。図1に示すように、当該レンズの要求仕様を勘案して基本構想、レンズタイプを決め、レンズデータに基づき光線追跡により性能評価を行う。評価結果の収差が仕様値内に収まるまでレンズデータの変更、場合により構想の練り直しを幾度となく行う。最終的に精密な性能評価で設計値が確認できたら、レンズ図面に落とし込むことで光学設計が完了する。実際のプラスチックレンズの応用範囲は多岐にわたり、その使用製品·目的により要求仕様が異なる。光通信、光ディスクのPU（ピックアップ）のような信号系では国際的な規格があり、眼鏡、コンタクトレンズは薬機法（改正薬事法）の規制で仕様が決まっている。カメラ類、プロジェクタのような画像映像系では、例えばスマートフォンレンズでは少なくともQRコードが読み取れる解像度が要求されるが、より優れた画質、高解像度が商品力を決定する。光学設計の目的は、収差を許容範囲に抑えてコスト、大きさなどを含めて要求仕様を満たすレンズを得ることにある。