日立金属における真空ダオカスト技術と適用事例

摘要

ダイカストは非常に生産性の高い鋳造プロセスであることは、よく知られている。 その高い外観品質の半面、内部品質は不安定であることもまた、よく知られている事実である。 ダイカストは、高速で動作するプランジャによって、短時問で金型内へ充填するプロセスであるので、溶湯は乱流状態で充填されてしまう。 このため、充填される金型の方案部（スリーブ、ランナー含む）や製品部（キャビティ）に存在するエアやガスなどを巻込み、気泡（プローホール）となって、製品内部に取り込まれてしまう傾向が非常に強い。 このガス巻込みを改善する技術は古くから研究されている。 ダイガストのガス巻き込みを対策する一つの手段に、巻き込まれるガスそのものをなくしてしまおうという考え方がある。 これはキャビティ内部を十分に排気することにより、巻き込まれるガスそのものを減少せしめる方法である。 これを真空（減圧）ダイカストと呼び、巻込みを原因とした欠陥の除去に効果的であることは、各社からの報告などにより明らかである。本稿では、主たる真空ダイカストプロセスを紹介するとともに、当社で実施中の真空ダイカストプロセス「HIVAC」および「HIVAC-V」とその適用例について紹介する。