応力緩和現象を利用したひずみ分散化による深絞り性向上技術

摘要

1990年代以降、自動車会社各社では車両の軽量化と安全性の両立のため高張力鋼板の適用が積極的に進められてきた。高張力鋼板の開発においては日本の鉄鋼メーカー各社が先陣を切り、より高強度へ、より成形性のよい材料へと技術開発が進み、その適用はホワイトボディの重量ベースでおよそ60％以上にも達している。プレス技術による成形性の向上を図る取組みとしては、金型との潤滑性向上や多段化した加工工程の工夫により加工ひずみの集中を避けるアプローチなどがあげられる。さらに近年サーボプレス機が登場し、今までにない複雑なプレスモーションが可能になった。本研究では高強度鋼板を用いて従来にない高深絞り性を得るために、応力緩和現象を利用した塑性ひずみ導入過程のコントロールの可能性を期待し、サーボプレスによる複雑なプレスモーションを活用した材料成形限界向上技術の検討を行った。