マグネシウムアモルファス合金の作製とその特性--機械的合金化法とパルス通電焼結法を使って

摘要

MA－PCS法により作製したマグネシウムアモルファス合金を中心に解説を行った。 Mg－Ni－Si系のマグネシウムアモルファス合金は，一般に耐食性を低下させるとされているNiが入っているにもかかわらず，高耐食性を示した。 これは，NaCl水溶液中で形成される被膜によるものであるが，この構造を解明することにより，従来材の耐食性を高める新たな方法が考案できればと考えている。MA法は非平衡粉末を作るために有効な手段であり，PCS法は非平衡粉末を焼結するのに有効な手段である。これらを合わせることで，マグネシウム合金に限らず，非平衡状態のバルク材料を作製することができるようになってきた。 アモルファスの粉末をアモルファスのまま焼結するだけではなく，焼結温度を結晶化温度より少し高温に制御して，ナノ結晶材料を作製することも可能であり，その特性も興味あるところである。 MA法においては，使用する装置やそのとき用いられる条件によって材料に投入されるエネルギーが大きく異なってくるが，これらを測定する方法や標準材料などがないため，材料に投入されたエネルギーが不明であり（組織観察等で算出されることばあるが），他の研究者と同じ尺度で検討することが困難である。 溶解法では温度という尺度があるが,固相反応を利用するMAにおいてもそのような尺度となるものが必要になると思われる。 現在，筆者らはそのような尺度についてどのような方法があるか検討をしているところである。 PCS法においては，焼結原理が未だに明確ではなく，粉末界面の温度がパルス電流を流すことによって高くなるという研究もあるが，その原理を見いだすことがこの方法特有の現象を利用する場合に重要になってくる。特に，微小な粉末界面での現象や，それが粉末の焼結にどのように影響を与えているのかは興味のあるところである。