現地レポート：アジア、中国、日本のモノづくり見てある記－最終回－蘇州の金型メーカー－中国系ローカルメーカーの特徴

摘要

中国の工業発展とともに金型生産は急増していったのだが、一方で金型の輸入も増えている。 特に自動車用や電子部品用など精度や品質が厳しく問われるものについては、中国国内での生産が難しく輸入に依存している。 つまり、中国では、「技術的に陳腐化した金型、すなわち、あまり精度が必要ないもの、製品の構造が単純で（すなわち複雑な加工が必要ない）、金型の寿命が短くてすむもの（製品のライフサイクルが短い）は、力をつけた中国の地場企業が生産している」状態にあるが、高級品については日本などからの輸入に頼っている（丸屋豊二郎ほか『メイド·イン·シャンハイ』岩波書店、2005年、106頁）。 とはいえ、中国の低価格の金型は、日本の金型産業に深刻な影響を与えたことは事実である。 そして、中国製金型の低価格を支えているのが、中国の労働コスト、設備コストの低さである。その上に、中国では日本と比べはるかに長時間労働であるため、後述するように金型の納期は比較的短く、日本と変わらないともいわれている。今月は、金型産業の集積地の1つである蘇州から中国金型産業の特徴を見ていきたい。