匠と材料の科学 第1回 大判越前和紙の評価

摘要

伝統産業製品を作っているものづくりの匠には、奥深い考えがあり、すべて合理的であることを思い知らされてきました。それは、京都工芸繊維大学にて、伝統みらい研究センターを立ち上げてから今までに多くの匠との研究上の交わりで得た実感であります。ものづくりにおける体の使い方、カの入れ方、どこをチヱックするかの目の運びなど、すべてにおいて、流れるように進む作業では、それぞれに理屈があり、理論があります。匠は、その理屈、理論をベースにした技能を体の中に覚え込ませ「コツ」として、すぐにでも作業できる形のデータベースとして、持っています。われわれがコツだけを視き込hで借用しようとしても、それはムダです。そのベースにある理屈、理論を知らなければ、コツの本質は、わからないからです。