糖尿病性腎症による末期腎不全の長期予後とその骨症

摘要

本邦における透析患者の原疾患はそのほとhどが原発性糸球体病変だった時代から急激に糖尿病性腎症が増加し，1997年末で慢性糸球体腎炎36.6％，糖尿病性腎症33.9％と1998年末の集計では糖尿病性腎症がもっとも多い（incidence）原疾患となるのは確定と考えられている。 しかしながら，透析患者数にしめる割合（prevalence）は22.7％にすぎず，その予後が依然不良であることが予想される。 「我が国の慢性透析療法の現況」では，1年生存に関する各種の危険因子の解析が行われ，糖尿病が1年生存に対する重要な危険因子であること，近年その予後の改善がみられることが示されたがその詳細は述べられていない。 そこで本稿では，われわれの経験した症例について糖尿病の予後決定因子としての重要性を検討し，併せて予後の改善につれて問題になると予想される糖尿病性腎症患者の骨合併症について検討した。