炎症性腸疾患の病態解明と治療の進歩

摘要

炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease ： IBD)はクローン病と潰瘍性大腸炎に分類される. 両疾患とも原因は完全に解明されていないが遺 伝学的素因，食事や衛生環境などの環境因子， 腸内細菌とそれに対する宿主の免疫学的応答が 関与していると考えられている.近年のgenome wide association study (GWAS)の発展により IBDにおいても100を超える疾患感受性遺伝子が 同定されている.疾患感受性遺伝子が示してい るように自然免疫応答や獲得免疫応答の制御異 常がIBDの病態に関与している.特に腸内細菌と 宿主の相互関係は腸管免疫学と腸内細菌学の進 歩により飛躍的に解明が進hでいる.さらにォー トフアジ 一，ERストレス応答'インフラマソ一 ムなど細胞レベルでの恒常性維持のメカニズムの破綻がIBDの発症に関与することもわかってきた.