小腸疾患：最後のフロンティア 新しい内視鏡の果たした役割と今後の展望

摘要

消化器病のなかでも小腸疾患は長 年軽視されてきた.小腸には病気が 少ないと考えられてきたこともその 理由のひとつだが，消化管の診断で 重要な内視鏡による到達がきわめて 困難であったということも，もうひ とつの大きい理由であった.この常識を覆す内視鏡としてカブ セル内視鏡とダブルバル一ン内視鏡 (図1)が開発され，小腸疾患に対す るアプローチ，考え方に変革がもた らされた.これらの内視鏡が開発されてからすでに約15年が経過した が，その間の小腸疾患診療の変遷を これらの新しい内視鏡が果たした役割を中心に解説する.