医科大学大学医学部における栄養学教育の現状-アメリカの新しい潮流と比較して

摘要

生活習慣病の予防における栄養の役割が認識され，医師に対してより的確な栄養知識を求める社会のニーズは増大しているが，医師の栄養知識は乏しく，その原因のひとつは医学教育における栄養学教育の欠陥にある．現行の医学教育モデルコアカリキュラムや医師国家試験出題基準でも栄養学はまとまった領域としては考慮されていない．2004年に行った全国アンケート調査では，卒前教育において独立した栄養学のコースをもつ大学は回答した大学のうち24．6%であり， 5時間以上の講義を行っていたのは14%の大学にすぎなかった．1997年に行われた調査と比較するとやや増加傾向にはあるが，なお十分とは考えられない．一方，かつては栄養学教育が不十分と批判されたアメリカの医学教育はNAAプログラムなどの医科栄養学教育プロジェクトが進行し，成果が上がりつつある．今後，日本でもより充実した医科栄養学教育の進展が望まれる．