自主臨床研究から治験へ

摘要

治験と臨床研究の違いを理解していない臨床医は多い.ミ卜コンドリア病（MELAS）に対する治療適応の拡大を目的とした臨床研究を行う過程で，臨床研究のデータを基盤とし，薬事法に規定された治験研究にグレードアップするにあたって多くの困難に直面した，治療適応薬剤がまだ世界で一剤もないミ卜コンドリァ病に対する治療研究は，まったくの手探りの状態で進hでいった.本稿では，この試行錯誤の過程を赤裸々に記載することで，治験と臨床研究の制度上の差異，法規制の違い，それにかかわる医師がしてはいけないことを明確に理解していただく助けになれば幸いである.