循環リスクホルモンとしてのアルドステロン-心血管におけるアルドステロンの産生と病態-

摘要

アルドステロンは,体液量とカリウムの恒常性を維持する主要な調節因子である.アルドステロンの標的細胞は腎尿細管上皮細胞であり,細胞膜のアミロライド感受性Naチャネル(ENac)およびNa-K-ATPaseの合成を制御し,電解質代謝を調節している.アルドステロンが持続的に作用するとエスケープ現象が生じ,体液の過剰貯留は起こらない,しかし.なhらかの原因でこの機能が障害されると体液は貯留し心機能は低下する.近年,アルドステロンの腎外作用として心血管作用か注目されており.とくに心肥大·心線維化作用は心不全の増悪因子である.アルドステロンは循環リスクホルモンである可能性があり,抗アルドステロン剤の効果が期待されている.また従来,副腎球状層でのみ産生されていると考えられていたアルドステロンは心血管細胞でも産生されていることが証明され,オートクリン·パラクリン機構によって心血管系に直接作用していると考えられる.