癌治療における漢方治療：最新のェビデンス

摘要

21世紀に入り癌治療の進歩とともに，漢方治療もその一端を担う役割が求められている.殺細胞効果の強 ぃ抗癌剤と併用で用いられることが多く，いくつかの生薬が抗腫瘍効果をもつていることが動物実験で明らか にされている.人参や補中益気湯，十全大補湯は細胞性免疫機能の低下を改善する作用が期待されている.周 術期に用いられる漢方薬には，胃切除術後の胃内うっ滞改善に有用な六君子湯，腸管の血流増加を促し，腸管 運動を活発化させる大建中湯がある.癌治療の副作用を軽減する薬剤に，シスブラチンによる吐き気を抑えて 食欲を高める六君子湯，才キサリブラチンによる末梢神経障害を抑制する牛車腎気丸，イリノテカンによる遅 発性の下痢を予防?軽減する半夏瀉心湯などがある.漢方製剤の作用機序が明らかになるにつれて，癌治療の 効果をいかしながら患者のquality of lifeを維持するためには，漢方治療が欠かせない存在になっている.