ゲノム人類学への招待一一アジア集団の遺伝的近縁関係に関する 研究を例に

摘要

ゲノム人類学とは，ヒトゲノムの多様性情報か ら人類の進化過程や，表現型の多様性を生みだす 遺伝因子を明らかにし，ゲノムレベルで"生物としてのヒ卜"の理解をめざす学問といえる.2003 年のヒトゲノム配列解読以降1),人類遺伝学分野 ではヒ卜ゲノム中の単塩基多型（single nucleotide polymorphism ： SNP)ゃコピ—数多型（copy number variation ： CNV)など，ゲノムレベルの個 人差の解明に力が注がれている.もっとも大きな貢献をしてきたのは2002年10月に開始された 国際HapMapプロジェク卜（International Hap-Map Project)である.