高血圧発症と高血圧退行（regression）におけるRASの役割

摘要

わが国における高血圧の患者数は推定3，500万人で国民の4人に1人以上といわれ，もっとも有病率の高い疾患である．また，高齢化に伴いその数が増加しており，高血圧症とその合併症（脳血管障害，冠動脈疾患，腎障害など）の治療が今後ますます重要な医学的課題となることが予想される．最近，高血圧が内臓肥満という共通基盤病態のうえで食後高血糖や高脂血症など他の生活習慣病と重鎮し，これらの相乗効果により合併症発症リスクが上昇することが明らかにされている（メタポリックシンドローム）．このメタポリックシンドロームの発症形態，相互関係と進展様式をダイナミックに表したものが，図1に示す"メタポリックドミノ"の概念である．