インスリン分泌障害：第一選択薬はSUかインクレチンか?

摘要

曰本人2型糖尿病患者では糖尿病発症初期からインスリン分泌障害を伴う場合が'多いため，インスリン分泌促進薬は幅広く使われてきた.現在使用されているSU薬やグリニド薬に加え，今後新たなインスリン分泌促進作用を有する薬剤としてインクレチン関連薬（DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬）が登場する.基本的に単独では低血糖を起こさずにインスリン分泌を促進すること，体重を增加させない，あるいは減少させること，膵島保護作用が期待されることに加えて，グルカゴン分泌を抑制する点もこれまでの糖尿病治療薬にない作用で特徴としてあげられる.DPP-4阻害薬はHbA_(1c)7.5 ~ 8%未満でインスリン分泌能がある程度保たれている場合には，前述した利点のため第一選択薬として新たな選択肢となり得る.一方で，HbA_(1c)値が高い症例ではHbA_(1c)6.5%の達成率が低い.食事運動療法をしたうえでHbA_(1c)8%以上，早朝空腹時が上昇しているような非肥満症例では，SU薬が適応となる.GLP-1受容体作動薬はDPP-4阻害薬に比べて血糖降下作用が強く,注射薬であるという点を除けば,より広い範囲で第一選択薬になり得るかもしれない.