薬物治療の選択と実際

摘要

急性胆嚢炎の初期治療薬は，各施設のアンチバイオグラムに基づく必要がある.急性胆嚢炎の抗菌薬治療期間は，Tokyo GuideHnes 18 のGrade I， IIでは，術前および術中のみが推奨される.Tokyo Guidelines 18 のGrade I， IIの術中所見で，穿孔，気腫性変化，壊死性胆囊炎などが見られた場合には，感染源の制御後に4-7日間の抗菌薬投与を行う.レンサ球菌や腸球菌などのグラム陽性菌血流感染を伴う場合には，最低2週間の抗菌薬投与を推奨する.本稿では，2018年に改訂されたTokyo Guidelines 2018 (TG18)の抗菌薬治療ガイドラインに基づ き，胆囊炎の抗菌薬による治療を若手医師向けに概説 する.急性胆囊炎においては，感染源の制御が重要で あり，抗菌薬の役割は補助的である.また昨今，ダラ ム陰性菌の耐性化が進行し，各施設および各地域での 初期治療薬の選択が極めて困難になってきている.