肝切除術の温故知新時代変遷と現在の標準手術，肝門部グリソン鞘一括処理法

摘要

肝臓手術については18世紀から記載があり，当初 は外傷を中心に行われていた。19世紀後半には予定 手術で，肝囊胞，炎症性腫瘤，一部転移性肝癌に対し て肝部分切除術などが行われるようになったが，肝断 端の処理は集束結紮やガーゼパッキングであった.20世紀に入り，第2次世界大戦後に麻酔や術前術 後管理の進歩，肝外科解剖の理解が深まった.1950 年前後には日本の本庄一夫，フランスのLortat-Jacob らが相次いで肝門部で肝動脈，門脈，胆管を個別に処 理をする右肝切除を報告し，外科解剖をもとにした肝 切除の時^:の幕が開いた.肝門部での個別脈管処理の 方法はcontrolled methodと呼ばれている.1952年の Lotat-Jacobの論文に掲載された個別脈管処理の図を図1に示す