第三部：筋ジストロフィーを理解する1.幹細胞の動態から見た骨格筋の脂肪化と線維化の分子機構

摘要

骨格筋は,高度な可塑性を備えた臓器であり, 損傷時には筋再生が促される.筋再生や筋形成を 担うのは,筋基底膜の直下に存在する筋衛星細胞 (サテライト細胞）である.筋衛星細胞は電顕観察や,Pax7などの分子マーカーで同定すること が可能である.近年の解析から,筋衛星細胞以外 にも骨格筋内に複数の幹細胞力存在し,恒常性の 維持や骨格筋の脂肪変性,線維化といつた病態に 寄与することが解析されている.小児の難治性筋 疾患の代表である筋ジストロフィ一病態や老化に おいて,筋再生が十分に行われず,筋の脂肪化や 線維化が生じ,QOL低下の重要な原因となる.