下りリンク高速パケット伝送における伝搬およびトラヒックモデルを考慮した場合の高速セル選択のスループット特性

摘要

本稿では，下りリンク高速パケット伝送におけるハンドオーバ領域においてフェージングに起因する受信レベル変動に応じて高速に送信セル（セクタ）を切り替える高速セル選択(FCS: Fast Cell Selection)と高速パケットスケジューリングを併用した場合の，伝搬路モデル，トラヒックモデルを考慮したスループット特性をシステムシミュレーションにより評価した．スケジューリングアルゴリズムとしてRound Robin (RR)法，およびProportional Fairness (PF) 法を用いた，シミュレーション結果より，低速フェージング環境ではFCSの効果は大きいものの，高速フェージング環境ではセル選択がフェージング変動に追従できないためFCSの効果は小さくなること，また，2パス環境では，瞬時の受信変動が小さくなるため，FCSの効果は小さくなることを示した，さらに，トラヒックモデルとして，Modified ETSI WWW browsing modelを用いた場合には，同時にパケットの送信を要求するユーザ数が小さくなるため，PF法による瞬時の受信品質の良いユーザを選択する効果が減少し，各ユーザが常にパケットの送信を要求する場合と比較して，FCS の効果は大きくなることを示した．結果として，スケジューリングアルゴリズムとしてPF法を用いた場合に，セル間，セクタ間ともにFCSを行うことにより，累積確率20％のユーザスループットを，FCSを行わない場合に比較して，1(2) パス環境において，約60(40)％増大できることを示した．