マルチユーザMIMOダウンリンクシステムにおける秘密保持容量を考慮したユーザ選択法

摘要

近年，マルチユーザMIMOダウンリンクシステムのための様々なユーザ選択法が提案されている．しかし，これらのユーザ選択法はセキュリティを考慮していない．送信機が複数のユーザに情報を送信する場合，その情報を盗聴する受信局がある場合が考えられる．本稿では，マルチユーザMIMOダウンリンクシステムにおける秘密保持容量を考慮したユーザ選択法を提案する．各ユーザのセキュリティレベルは秘密保持容量によって判断される．提案法では，送信機は秘密保持容量が0よりも大きいユーザを選択する．そのため，送信機は情報を盗聴されることなくユーザに送信することができる．提案法は，Maximum capacityスケジューリングやProportional fairnessスケジューリングなど従来のユーザ選択法に適用することができる．計算機シミュレーションにより，提案法は安全性が向上し，従来法と比べてもシステム容量や公平性特性の劣化が小さいことを示す．これにより提案法が通信の安全性を保障する効果的な方法であることを示す．