鉄筋類挿入工法の補強機構と設計法に関する考察

摘要

棒状補強材による地山補強土工法の機能と設計法に関する研究は現在まで数多くなされている．それらの設計法を大別すると，以下の2つが挙げられる．① 内的安定性：地山の変形とともに受働的に発生する補藤村引張り力による効果を基本とした設計法．② 外的安定性：地山の変形を拘束して補強領域を擬似擁壁化する効果を基本とした設計法．前者は，基本的にある程度までの地山の変形を許容するものであり，後者は変形を抑制する効果に主眼を置いたものである．したがって，この2つの効果は同一の設計において混在しうるものではなく，厳密な言い方をすれば，どちらの効果に主眼を置くのかをあらかじめ明確にした上で設計作業に人らなければならない．しかし，上記の2つの機能には，依然として，以下のような問題点が残されている．