近年のチューリップ病害の発生動向と防除対策

摘要

富山県におけるチューリップ球根生産は大正時代から始まり、戦後になってから本格的に生産が拡大した。 当初は、その多くを海外に輪出していたが、一九八0年代に入ってからは国際競争力が低下して輸出はほとhど行われなくなった。 一九九0年代は、隔離検疫制度の部分的撤廃を契機にオランダ産球根の輸入量が徐々に増加し、現在でほ国内生産量を凌ぐ量の輸入球根が市場に流通しでいる（平成十年、国内産0.九億球、オランダ産二.四億球）。 このような情勢に加え、産地では生産者の高齢化や後継者不足が進行しており、産地の発展を継続するには一層の生産コストの低減、作業の省力化をすすめるとともに高品質球根生産地としての基盤をより堅固なものとすることが強く求められている。 なかでも病害の発生は高品質球根の安定生産阻害要因であることから、病害防除技術の開発に対する要望は強い。