植物生殖機構とその園芸への利用

摘要

植物の一生は受精に始まり、種子の生産をもって終わる。 受精から胚形成にいたる過程は植物科学上の大問題であると同時に、園芸作物生産や種子生産上の避けては通れない問題である。 　 本シンポジウムでは、受精と胚形成研究の現状を概括し、今後の植物生殖生理学の進展と園芸への利用を考えた。 被子植物の受精機構は「重複受精」と呼ばれ、花粉管により運ばれる2つの精細胞のうち、一方は卵細胞と受精して胚を、もう一方は中央細胞と受精して胚乳を形成する。 重複受精がナワシンにより発見されて100年以上の時が経過しているが、その仕組みの多くは謎につつまれている。 それは、重複受精を生きた材料で直接観察した者が誰もいないからである。