市場取引の変容と産地の対応方向

摘要

近年、果実流通において市場外流通が増大しているとされているが、事実、果実が卸売市場を経由して流通する比率は、昭和五五年に八七、一％であったのが、平成一三年には五四、一％へと大幅に低下している（注1）。 ただし、この比率は分母に加工品を含めて推計されていることから、これを除くと商流としては七割前後が卸売市場を経由しているとみられる（注2）。 一般に卸売市場を経由することのない加工品輸入が増加しているため、加工品も含めた果実全体としては卸売市場を経由する割合が大きく低下しているのであるが、生鮮果実については卸売市場流通が高いシェアを占め、依然として重要な役割を果たしているわけである。