腹膜播種を伴つた有茎性発育型胃GISTの1手術例

摘要

症例は73歳，女性。腹痛?背部痛を主訴に前Eを受診し，精査にて左上腹部に腫瘤性病変を認めたため，当院当科に 紹介受診。腹部造影CTにて胃体部後壁に長径13:cmの内部不均一な腫瘤性病変を認め，血管造影検査では左胃動脈から栄養 されていたため，胃GISTを疑い手術を施行。術中所見にて，左右横隔膜下，Douglas窩，網囊腔に播種結節を認めた。腫瘍 は胃体上部大弯後壁と径約1cmの茎を介して連続していた。病理組織学的には訪錘形細胞が錯綜配列を示し，c-kitおよび CD34は陽性であった。以上より腹膜播種を伴う壁外有茎性発育型胃GISTと診断した。術後，イマチニブによる治療を開始 し，術後15か月経過した現在も経過観察中である。有茎性発育型胃GISTは比較的まれであるが，予後は良好との報告があ り，本症例においても腹膜播種を認めたものの，イマチニブ投与により術後ほか月経過し得た。若干の文献的考察を加え報 告する。