訪問着護師としてのケアマネジメント業務を考える　ADLが拡大し自立支援が図れた1事例をとおして

摘要

当院介護保険事業部は従来から行っていた訪問看護業務に加え，2000年4月より居宅介護支援業務を兼務で行っている。2年経過した現在，当院の介護保険利用者の特色として，介護度が高く，認定更新後も介護度が重度であるほど変更が少ないという傾向にある。 現在の居宅介護支援業務は多職種のケアマネージャーで構成されており，それぞれの専門分野以外の活動を余儀なくされている。 このようななかで，訪問看護師が兼務でケアマネジメントしたことにより，ADLが拡大し，自立が図れた1事例を紹介する。 KT氏，76歳は狭心症を発症後，合併症を併発し転院を繰り返して当院に入院。 長期臥床による全身の筋力低下およびADLの低下を認めるが退院する。 自宅療養に当たり，居宅介護支援は訪問着護を中心とした介護サービスを展開していった。 KT氏は当初，医学的管理が必要なことから自宅療養に対し本人，家族ともに不安があり，健康管理·生活指導の他，精神面の支援が必要であった。そこで看護師が訪問着護を行い，利用者のニードや状況をアセスメントし対処していくと，不安は軽減し意欲的となり，ADLが拡大し要介護4から2へと軽減した。 これは訪問看護師が医療に関する専門知識を活用し，看護の視点でケアマネジメントすることで，本人の身体状況や意欲の変化および家族の介護状況を適抑こアセスメントし，必要時必要なサービスを導入できたことが成功の要因であったと考える。これは各サービス担当者との連携が図れたことも効を奏した。このように利用者の状況に応じて，専門性を発揮できる職種のケアマネージャーが担当する，あるいは利用者の状況の変化に応じて専門性を考慮し変更していくことも利用者のメリットとなり業務改善にもつながるのではと考えられる。