( S109) 高炉スラグからのハロゲン捕獲材の合成と評価

摘要

製鉄プロセスで大量に副産される高炉スラグは，これまで有用なリサイクル資材として，セメント原料やコンクリート骨材など土木建築分野で活用されてきたが，他のリサイクル資材との競合による需要の伸び悩みや，さらに，近年の鉄鋼需要の高まりに伴い排出量が増加傾向にあり，新たな用途開拓による高付加価値化が大きな課題となっている．一方で，廃棄物の焼却処分場では焼却炉で発生するHCl ガスによるダイオキシン生成や高温腐食が大きな問題となっており，原因となる塩化水素を高温で固定除去し回収することのできるHCl 固定化剤が望まれている．高温雰囲気でHCl ガスを固定可能な物質にハイドロガーネット[Ca_3Al_2(SiO_4)(OH)_8]やハイドロキシソーダライト[Na_8Al_6Si_6O_(24)(OH)_2]があげられる1)．高炉スラグの組成は，CaO, SiO_2, Al_2O_3 などが主成分であることからハイドロガーネットやハイドロキシソーダライトを合成できる可能性がある．また，高炉スラグは約1500℃ の高温溶融状態で発生するが室温まで強制冷却されスラグ資材として利用されており，もともとの溶融スラグのもつ熱は未利用のまま排出されている．これまで，この未利用廃熱を利用したアルカリ溶融処理を検討し，アルカリ溶融をした高炉スラグからハイドロカルマイトやゼオライトを合成することに成功している 2, 3)．本研究では，これらの知見を進めて高炉スラグにアルカリ溶融処理を施すことで，高温域でのHClガス除去能を有するとされるハイドロガーネットなどを含むハロゲン捕獲材を合成することを試みた．