高Cr フェライト系耐熱鋼溶接継手のクリープ特性改善

摘要

650℃級高Cr フェライト系耐熱鋼の最も大きな問題点は、溶 接継手の長時間クリープ強度が大幅に低下することである。こ れは、HAZ 細粒域においてTypeIV 損傷が生じるためで、従来 これを防止することが非常に困難とされてきた。これに対して、 B を100ppm 程度含有し、窒素含有量を下げた9Cr-3W-3Co-Nb, V 鋼（B 鋼）が最近開発され、長時間の継手クリープ試験にお いてもTypeIV 損傷を防止できることが示された。しかし、 TypeIV 損傷の発生機構やB 鋼でTypeIV が防止できる機構につ いてはまだ不明な点が多く、その指導原理を明らかにすること が今後の材料開発を進める上で重要である。本講演では、この ような観点から著者らが進めてきた研究成果を中心に、TypeIV 損傷の発生機構及びその防止機構について議論を行う。