高Crフェライト系耐熱鋼溶接継手熱影響部の局所クリープ特性－鉄鋼材料の革新的高強度·高機能化基盤研究開発研究体

摘要

火力発電プラントの高温機器では9-12％Crフェライト系耐熱鋼が多用されており、多くの部材から構成されているため溶接が必要不可欠となっている。近年、溶接熱影響部（HAZ）の細粒域（FGHAZ）あるいはインタークリティカル域（ICHAZ）において内部からき裂が発生し、その後破壊へと至るいわゆる“Type IV 破壊”が大きな問題となっている。多くの高温機器では多層盛溶接が施工されており、多重熱サイクルのため溶接継手部ではミクロ組織も不均一で複雑になり、その結果、同じPGHAZ内でも場所（熱履歴）によって高温強度特性が異なる可能性がある。本研究では、もっともクリティカルと言われているこのFGHAZ内の高温強度分布を直接調べることを目的として、Mod.9Cr-1Mo鋼TIG溶接継手を対象に、FGHAZ内の異なる箇所（熱履歴）よりTEM ディスク形状の小型試験片（Φ3.0×t0.25mm）を採取し、SPクリープ試験によってそれら局所領域のクリープ特性を計測、比較した。