国内需要は低調非OPECの増産余力

摘要

みずほ銀行産業調査部は、このほど需給動向レポートで石油産業をとりあげた。テーマは「高度化法対応によって需給および精製マージンは改善へ」であるが、まず、レポートのベースとなる「世界の石油需要と原油価格の動向」をまとめてみる。2014年の年初から4月末までの原油価格は、ブレント、ドバイについては、リビアの石油ターミナル封鎖等による原油供給途絶やウクライナ情勢の悪化による地政学的リスクの高まりがあったものの、ブレントが105ドル／バーレルから111ドル／バーレル、ドバイが102ドル／バーレルから107ドル／バーレル程度の比較的限られた範囲で推移した。一方、WTIは、米国内の原油増産による供給量拡大とメキシコ湾岸への輸送インフラ不足でWTIの受け渡し地点であるオクラホマ州クツシングの在庫が増加し価格を押し下げてきたが、2014年1月下旬以降、パイプラインの能力増強によって在庫が減少し、価格は上昇基調となった。また米国北東部への寒波襲来による曖房用石油の需要増加も価格上昇要因となった。その結果、WTIとブレントの価格差は、足元8ドル／レルバー水準まで縮小している。世界の石油需要は、OECDが伸び悩む中、中国をはじめ非OECDの増加により、緩やかな拡大が継続している。供給面については、北米を中心に非OPECが需要の伸び以上に増産した一方で、OPECがリビアの原油供給途絶等によって実質的な減産となったことで、需給はバランスしている。引き続き、非OPECによる需要増加量以上の増産が見込まれるため、リビア情勢に依拠するがOPEC全体での供給動向次第では、需給は緩和しやすい状況と考えられる。但し、OPECの増産余力は足元4.7百万バーレル／日以上あるため、OPECの供給調整動向に注目が必要である。足元の原油·石油製品のOECD在庫日数については、暖房用石油の需要増加等による石油製品在庫の減少により、過去5年の中では低位傾向にあるが、十分な水準は維持している。なお、原油価格（WTI）の要因を分析すると、2014年4月の平均価格である102ドル／バーレルは、生産コスト要因が61.7ドル／バーレル、需給バランス要因が7.6ドル／バーレル、投機·地政学要因が32.7ドル／バーレルと推計される。