免疫活性物質としてのリポ多糖?リピドAと その化学合成

摘要

グラム陰性菌の外膜に存在するリポ多糖(lipo-polysaccharide ： LPS)は一般的には非常に強い免 疫刺激活性を有し，内毒素あるいはエンドトキシ ンともよばれる.その構造は，二糖〔GlcNAc (beta 1-4) GlcNAc]に脂質部分が結合したリピドA, および②酸性糖であるKdoを介して結合した多 糖部位（コア多糖，O抗原多糖を含む)，に大別さ れる（図1).リピドAおよぴコア多糖部位は，細 菌の種によって多少の構造の違いが見出され，と くにリピドA部位の構造の違いは自然免疫受容 体による認識に大きく影響し，免疫賦活作用の差 異につながる.一方，O抗原多糖は細菌種および 細菌株の違いにより多様な構造をもち，抗原性発 現に重要な役割を果たしている.