頭皮脳波を用いた非侵襲BMI

摘要

ブレイン?マシン?インタ一フェース（BMI)は中枢神経系に機械を介在させて神経系固有の機能の一部を機 械に代行させる技術の総称である.もともとは一次運動野や運動前野などの機能解剖学的なメカ二ズムを明ら かにするための一種の評価方法として上肢運動をロボッ卜アームに代行させる実験システムが構築されたが， 臨床的視点からはこれを応用した医療福祉機器の開発が期待されている.たとえば，電極を脳内あるいは脳表 に留置する神経活動記録法を用いれば，脳活動から精確な上肢運動軌道をリアルタイム推定することが可能に なりつつあり，頸随損傷やロック卜イン症候群を対象としたロボッ卜アーム制御や家電制御システムの開発が 進められている.一方，頭皮に皿電極を貼付して非侵襲的に脳活動を記録する頭皮脳波は信号品質が劣るため に高精度な脳活動状態の推定に基づいたBMIの構築には不向きであるものの，電極の付け外しが容易なことか ら，脳卒中片麻痺をはじめとした運動障害に対する神経リハビリテーションへの応用が検討されている.いず れのBMIも福祉や医療への応用展開を進める過程で，さまざまな技術革新や研究手法が考案されており，これ までの神経科学研究では明らかにできなかつた知見が集積され，あらたな科学的潮流を生み出しつつある.