肺Mycobacterium abscessus症の診断と治療

摘要

非結核性抗酸菌症のなかでも，もつとも難治な肺Mycobacterium abscessus(M.abscessus)症の増加が憂 慮されている.従来，本菌種として同定されてきたなかにM massilienseとよばれるあらたな"亜種"があ り，やや予後がよさそうなこともわかってきた.しかし，M. avium complexなど他の非結核性抗酸菌症では 明らかに有用なリファンピシン(RFP)などの抗結核薬が肺M. abscessus症ではまったく役に立たず，国際的 にも信頼できる化学療法レジメンは未確立である.肺M. abscessus症が難治性である理由のひとつに本菌種 独特の誘導耐性機構の関与が考えられている.いずれにせよ本症は，診断当初から外科治療を念頭におきつ つ，全力をもつて治療を継続すべきである.