パス卜ウールと狂犬病

摘要

パストウールは炭疽研究が一段落すると，一 門総出で本格的に狂犬病ワクチンの研究を始め た.実験は困難を極めた力狂犬病感染ゥサギ の乾燥脊髄からワクチンを創製(写真1)する. ィヌでの実験結果は良好で人間への接種の準備 は整った.しかし，さすがのパストウールもす ぐにはこれを人間に使う勇気はなかったよう だ.ところ力ある偶然が人間への接種の機会をもたらす.1885年7月6日，9歳の少年マイス タ一が母親と一緒にパストウールの所に来たの である.2日前に狂犬に咬まれたのだという.パ ストウールはヴエルビアン，グランシェルとい う2人の医師に相談，ワクチン接種を決意する. 少年にはその日のうちに1回目のワクチンが接 種され，その後10日間，12回にわたり徐々に毒 性の強いワクチンが接種された.