心疾患合併高血圧の降圧治療-病態に応じた積極的降圧療法

摘要

高血圧治療の目的は，心血管病を含む臓器合併症の予防と，すでに臓器障害が発症している場合は合併症進展の予防と再発防止である.日本高血圧治療ガイドライン（JSH2009)では若年者·中年者では130/85 mmHg未満，糖尿病や慢性腎臓病（CKD):心筋梗塞後患者では130/80 mmHg未満，脳血管障害患者，高齢 者では140/90 mmHg未満と厳格な降圧目標が設定されている.さまざまな大規模臨床研究から心血管病に はアンジ才テンシンII受容体拮抗薬(ARB)が有益であることは異論のないところであるが，単剤では降圧不 十分な症例が多く，併用療法や配合薬が多く選択されている.心疾患合併症例では，器質的冠動脈狭窄による 労作性狭心症にはbeta遮断薬とCa拮抗薬のどちらも有効であるが，冠孿縮性狭心症ではCa拮抗薬が第一選択 となる.心不全ではレニン-アンジ才テンシン系（RAS)阻害薬+ beta遮断薬+利尿薬の併用が心不全治療の標準 的治療である.高血圧を合併する発作性心房細動に対しては，ARBがアツブス卜リーム治療として用いられている.