アレルギー疾患と母乳中TGF-beta--TGF-betaの経口摂取によって食物アレルギーの予防は可能か

摘要

TGF-betaは細胞の増殖，分化，生存などのさまざまな機能を調節するサイトカインとして知られ， 発生や再生，創傷治癒，免疫など高次の生命現象に深くかかわつている.免疫系ではとくに制御性T細胞の分化や機能を制御することによって免疫寛容状態の維持に関与している食物アレルギーは，卵などに含まれる経口蛋白質（アレルゲン）に対する免疫応答が起こることから生じるアレルギー疾患のひとつである.近年， 乳幼児を中心にその患者数はわが国で増加しているが，いまだ食物アレルギーの有効な予防や治療法は確立されておらず，原因食物の除去が基本となっている.一方，世界保健機構(WHO)は乳幼児のアレルギー疾患（おもには食物ァレルギ一に起因する乳幼児ァトピー性皮膚炎と思われる）の予防に，母乳栄養を推奨している.母乳がどうして