シリーズ：法規·規格－安全文化に関するIAEAなど国際機関の取り組み

摘要

我が国の法令に基づき報告された事故·トラブル件数は、この20年間年々減少の傾向にあり、近年は、0.4件／基数程度で推移し横ばい傾向にある（第1図）。しかしながら1995年以降、動燃もんじゅナトリウム漏洩事故（1995年）、動燃アスファルト固化処理施設火災爆発事故（1997年）、JCOウラン加工工場臨界事故（1999年）、中部電力浜岡1号機配管破断事故（2001年）、東京電力点検記録不正問題発覚（2002年）、関西電力美浜3号機配管破損事故（2004年）等社会的に大きな影響を与えた事故·トラブルが継続して発生している。 これら事故·トラブルは、成熟に達したはずの日本の原子力施設において安全文化の劣化による新たな問題、多くは組織に起因する問題を提起している。 原子力施設の安全確保には、施設·設備を構成するハード面からの安全確保と、これを運用する人間、組織、マネジメントや制度等のソフトな面からの安全確保が両輪となり、これらの両輪が的確に機能することが求められる。 特にソフト面からの安全確保の基礎となる安全文化の醸成が極めて重要である。