物理シミュレーションによるバーチャルヒューマンの運動制御

摘要

近年，三次元仮想環境を自由に動く人型のキャラクタ，仮想人間（Virtual Human；以下VHと略す）が映画やゲーム，インターネットなど様々な場面で利用きれている．また，コンピュータやゲーム機，ハプティツタインタフェースの進歩により，VHを用いたインタラクティブ性の高いアプリケーションが増えてきている．それに伴ない，VHの動作をリアルタイムに生成する必要性が高まってきている．現在のインタラクティブ性の高いアプリケーションにおけるVHは，あらかじめ用意した動作を人工知能（Artificial Intelligence；以下AIと略す）がユーザの操作やゲームの進行状況などに応じて，一定のルールにしたがって次に再生する動作を選択する（図1）．それらの動作は主に，技術のあるアニメータが多くの時間と労力をかけて作り込むか，もしくは，モーションキャプチャによって取得したデータを切り出すことで作られる．これらの方法の場合，VHは決められたいくつかの動作しかできない．また，ユーザが自由度の高いハプティックインタフェースなどを用いて力を加えるなど，環境からの干渉，衝突などの突発的な力が働いたとき，自然な動作を生成することが困難である．つまり，ゲームやハプティックインターフェースを使った干渉，衝突があるインタラクションにおいては，環境の力学的影響を考慮してVHの動作をリアルタイムに生成することが必要である．本研究では，動力学に基づき，VHの運動を制御することで，環境からの力学的影響に応じた動作をリアルタイムに生成することを目的とする．