皮膚感覚からの自己運動知覚を前庭刺激との関係から検討（1）一直進運動と振動との比較

摘要

我々は自己運動知覚が前庭入力を伴う皮膚刺激によって引き起こされることを確かめた（Murata et al., 2014）．本研究はこのような皮膚感覚で誘導される自己運動の機能的特徴を検討するとともに，ここでは特に前庭システムに対して刺激作用する実際の移動の影響に焦点を当てた．実験条件は以下の通りであった．2つの風条件［有·無（風有り条件では参加者の顔に風が皮膚刺激として呈示された）］．そして2つの移動条件［有·無（参加者の身体に受動的移動運動が前庭刺激として呈示された）］．実験の結果，風が伴う場合，知覚された方向は実際の身体移動に一致していた．一方，移動無し条件では知覚された方向に変動が見られた．これらの結果をもとに前方への自己運動知覚を引き起こす皮膚感覚入力の役割について考察した．