ユーザーが喜ぷシステム導入法－第1回 プロジェクト推進編：手戻りを最小にするスパイラル手法－前提はユーザー要求仕様は100%決まらない

摘要

情報システムを構築するうえで，初めにユーザー側から要求仕様が提示された後は，システム開発部門に一方的に開発を任すことがある。 この場合，相互の認識や要求内容にかい離が生じがちだ。 その結果，開発途中やシステム稼動後にユーザー部門から仕様変更や追加要求が多く出され，当初計画していた予算や工期がオーバーしてしまう。 ユーザ側の要求仕様は，100％の完成度で提示されることはまずあり得ない。 その結果，システム開発の設計·製作·テストなど各段階で手戻りが起こり，全体エンジニアリング工程のひっ迫，システム立ち上げ品質の低下，フォロー期間延長といった連鎖反応を生じる。特にウォーターフォール型のシステム開発は，要求仕様があいまいだと開発が進むほど手戻りが大きい。全体エンジニアリング工程の進捗に大きく影響を及ぼす（図1）。