ケミカルハザード対応医薬品製造施設·設備における封じ込め性能の定量的評価

摘要

封じ込めという言葉からは完全に外に漏らさないという印象を受けがちであるが、実際の封じ込めにはレベルが存在する。 実際には、封じ込め技術とは許容できる極微量な漏洩をコントロールする技術であると言い換えることができる。 こう考える理由には、完全な封じ込めには技術的な困難さを含むことと、封じ込め対象とする化学物質の危険性を考慮して、経済性と作業性も向上させたいというユーザーニーズとの兼ね合いにある。 すなわち、医薬品製造設備における封じ込め技術においては、作業者に対する安全性の確保および外部環境の保護ならびに、異種薬品の交叉汚染防止に対する要求に応える「設備の確実性」だけでなく、経済性および作業性に対する要求にも応える「設備の適切性」を考慮した総合的なエンジニアリングサービスが要求されている。 本誌上においては、無菌製剤工場に採用され、許容範囲内で封じ込めを実現する設備であるオープンアイソレーションシステムの封じ込め性能の定量的評価について述べる。